【書籍紹介】<いのち>の自己組織

<いのち>の自己組織 共に生きていく原理に向かって

清水博(著)

単行本: 261ページ

出版社: 東京大学出版会 (2016/2/24)

 

場には、人びと(生きもの)の多様な主体性を消す「同調の場」と、それを活かす「共存在の場」の二種類があること、これまでは場と言えば同調の場しかないように思われていたが、これからの時代に本当に重要なのは共存在の場であることが説明されている。

その共存在の場をつくるために必要なことは、人びとが自己の〈いのち〉を居場所に与贈することであり、その結果居場所では、与贈された〈いのち〉の自己組織がおきて、居場所を舞台とする「〈いのち〉のドラマ」すなわち「〈いのち〉の与贈循環」が自発的に生まれる。

そしてこの〈いのち〉のドラマには、人びとの生活ばかりでなく、居場所も共創されるという特徴があるので、地球をはじめ、大小様々な居場所の復興と調和ある発展を必要とするこれからの時代の生活、経済、政治にとって、共存在の場づくりは核心的な重要さを持つものとなることが示されている。