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場の研究所 定例勉強会のご案内
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ホームページ:http://www.banokenkyujo.org/
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「〈いのち〉を居場所に与贈して〈いのち〉の与贈循環を生み出そう」
〈いのち〉とは「存在を続けようとする能動的な活き」である。
(清水博)
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◎8月19日に勉強会が開催されました。
内容は 「共に生きていく人、共に生きていく企業」と言うテーマでしたが、当日は清水先生が勉強会でテーマとして議論している両手、両足を病気で失いながら立派な人生を送られた中村久子のことを書かれている高山市真蓮寺の三島多聞住職(中村久子女史顕彰会会長)からいただいた手紙をベースにして「二領域的論理」という内容をベースに議論を致しました。この二領域的論理は〈いのち〉の自己組織現象がおきている居場所に成り立つものであり、これからの人間の生き方、家庭のあり方、企業のあり方を考えるためベースとなり、また深刻な病とその介護にも活用できるという話でした。
前半はテーマ以外の皆さんの自己紹介からの場に関する課題や困り事などに対するワイガヤをすすめて行きました。今回は初めて参加の方もいて、良い意味で新鮮なご意見もありまた、清水先生から少し長く説明をいただきながら行いました。
二領域的論理について
三島先生の言葉:仏道に二つの道があります。一つ。従因向果(因から果へ)。・・・スタートなきゴールはない。二つ、従果向因(果より因へ)・・・ゴールなきスタートはない。前者は、スタートは各人、目標を立ててスタートする。各人の能力努力の差により因は異なり、従って果も異なる。“それぞれに「浄土」を生み出す”という結果になる。後者は、仏陀の悟り「証」の果より、果に到る因を提示する。その因に立って、求める時、同じ果「証」を得る。前者は、個人に信仰に止まり、共なるいのちを共存できない。
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これに対し清水先生の言葉:J.S.Haldane は1930年に提唱した「科学的生物学の原理」で、「生物が環境に合わせて生活すれば、環境も生物に合わせて変化をする。そして両者が相互整合的になった状態を、生物の生命力が維持する」と言っています。
また私は、「生命体(生物以外にも、家庭、企業、社会、地球なども含む)は、その居場所を舞台として自己の〈いのち〉を即興的に表現する「〈いのち〉の即興劇」の役者たちとして生きていく。(清水先生コメント:人は地球という生命体の一部であり、地球を舞台とする役者として外の生物と〈いのち〉の即興劇を演じている。)
この役者と舞台の表現の間には、鍵と鍵穴が相互に合致し合うような、相互誘導合致の法則が成り立っている」と主張してきました。また「この〈いのち〉の即興劇では、役者たちの〈いのち〉が居場所に与贈される(表現される)と、そこで居場所の〈いのち〉が暗在的に自己組織されて生命体を包む」と考え、この〈いのち〉の循環的な活きのことを「〈いのち〉の与贈循環」と名づけました。それは下図のような関係でおきています。
(明在)
従因向果
↑ ↓ (誘導合致)
従果向因
(暗在)
従因向果はおきているけれど、暗在的におきているために、意識に明在的に映らないのです。役者たちのすぐ周りの舞台の状況が互いに少し異なっているために、それぞれの相互誘導合致が同じでなくても、居場所全体の〈いのち〉の暗在的な自己組織が同時進行的におきていくならば、多様な因から出発する役者たちも、最後は一定の果に導かれるということができます。
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三島先生の言葉:ちなみに従因向果は聖道門、断の仏教(煩悩を断じて証果を願う)で、従果向因は浄土門、転の仏教(煩悩を転じて徳とする、煩悩が菩提となる)です。
中村久子さんは、結果論的に分析すると、この二つの仏教を味わった人ではなかったかと思います。「蓮」の仏教。・・・泥に染まらないように努力精進した。行きづまりの只中に、念仏の教えで泥こそ、私のいのちと転じた。
泥(煩悩)に染まらないように精進したが、念仏によって、泥なくしては真白の蓮華(正覚)は咲かなかったのだ。凡夫の眼から見る身は、いまわしい無手足の身で、念仏如来の眼から見たら、無手足の身は、私を救けてくれた善知識、親の片身となった。厳しい鬼のような母は慈母となる菩薩に、新興宗教にはまった愚かな父は、道はこのようにして求めるものではないと、命ちぢめてまでして教えて下さっていた仏様となった。「転の仏教」の見本のような方です。
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これに対し清水先生は:いま世界に必要な宗教は〈いのち〉の原理に基づく二領域的論理(あらゆる生命体である衆生と地球を居場所とする存在論的論理)を踏まえる地球レベルの「〈いのち〉の宗教」ではないかと思います。浄土門仏教が二領域的論理をもっているということは、安田理深によって先駆的な努力がおこなわれたように、衆生と居場所の存在論の形で教義を新しく表現していける可能性を示唆していると思われます。
居場所に与贈された生きものたち(役者たち)の〈いのち〉が暗在的に自己組織されて居場所の〈いのち〉となり、生きものたちを従果向因の活きに包んでその存在を救済します。このことは、このようにして居場所に暗在的に生成する〈いのち〉を自己組織する力が次のように浄土門仏教における本願力(存在の救済力)に相当することからも納得できます。
それは、この自己組織力によって居場所の〈いのち〉が生まれて、生きものたち(役者たち)を包み、それぞれの存在(役者としての活き)を居場所(舞台)に位置を与えるために、生きものたちの存在が救済されるからです。(清水先生コメント:親鸞が全てを引き受けると言うことです。)
経済活動には、「持つための経済活動」と「在るための経済活動」とがあります。在るための経済活動には、生きものが居場所における自己とそして他者の存在を救済する活きが含まれなければなりません。
在るための経済活動では、自己が存在する居場所に救済力を自己組織的に生成することが要点になりますから、一領域的論理で取り扱われてきた持つための経済活動とは異なって、二領域的理論が必要になります。またそのためには、自己の〈いのち〉の居場所への与贈がまず必要になります。
慈悲や愛の道を断たれた職場では、生きものとしての働き手の〈いのち〉の活きが数値を上げるために結果の数値を上げるために無視される企業経営や職場環境が生じて、人々の心身がぼろぼろになっていく鬱病のように、現代医学だけでは治すことができない「存在の病」が生まれています。
さらには、心身が過酷な居場所におかれているとガンを発病する確率が高まり、またその逆に心身が居場所の〈いのち〉に深く包まれることによって、稀にはガンの自然治癒がおきることも知られているように、人びとの活動の場が〈いのち〉の暗在的な自己組織力の下にあるようにすることが、これからの社会運動の大きな方向であると思います。
社会の高齢化に伴って認知症の患者は増加していきます。特にアルツハイマー型の認知症は、患者当人にとっては自己の意識自身が暗黒の世界に消えていく、恐怖の病です。その当人にとって、救いになるのは自己の様々な活きが失われていった後でも、霊性的自己の活きが残って続いていくことであると、言われています。その活きとは、恐らく〈いのち〉の暗在的な自己組織が、患者が存在している居場所においておきていることを受けておきるものと思われます。
■結局、私たちの目の前には、〈いのち〉の自己組織性を前提にした「在るための経済活動」と、「存在の医療」という未来への二つの入り口が存在していることになります。このことを主要なテーマとして、9月は定例の勉強会の代わりに、下記の要領でシンポジウムを開催致します。詳しい内容はホームページをご覧ください。
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NPO法人 場の研究所 主催 「場のシンポジウム2016」
『与贈を巡る〈身体〉と〈経済〉』
〜新しい医療と経営を支える共存在原理〜
・講演内容
『共に生きていく原理を求めて』NPO法人場の研究所 所長 清水 博
『身体を癒す調和の〈場〉』東京大学附属病院 医師 稲葉 俊郎
『〈場〉をつくる健全な負債感』クルミドコーヒー 店主 影山 知明
日時 2016年9月22日(祝・木)13:00-17:30
場所 エーザイ株式会社 大ホール(東京都文京区小石川4-6-10)
参加費 一般 5,000円 会員 3,000円※ 学生 2,000円
申込 http://ba2016.peatix.com/ よりお申し込みください。
なお、ネット申し込みでなく、下記メールアドレスでも、申し込み可能です。会費は当日受付でお支払いとなります。
○申し込み先:
場の研究所担当:前川 泰久
メールアドレス: hisamaekawa0570ummc@gmail.com
申し込みにつきましては、下記項目も記入をお願い致します。
1)お名前
2)ご住所(郵便番号含む)
3)連絡先電話番号
4)一般の方か、場の研究所の会員か、学生の方か?
5)お仕事(できればお書き下さい)
6)メールアドレス⑦参加人数以上を記入の上、よろしくお願いいたします。
主催 NPO法人場の研究所 東京都豊島区北大塚 1-24-3
TEL 03-5980-7222
※場の研究所ウェブサイト( http://www.banokenkyujo.org )
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■編集後記今回の二領域的論理については、幅広く当てはまるものが多くあります。この内容に付いてはシンポジウムでも触れる予定です。是非、シンポジウムへのご参加よろしくお願いいたします。
なお、10月は従来どおり第3金曜日に勉強会を開催いたしますので、来月のメールニュースで内容をご案内したいと思います。
特定非営利活動法人 場の研究所
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