場の研究所メールニュース 2016年10月号

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場の研究所 定例勉強会のご案内

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ホームページ:http://www.banokenkyujo.org/

 

 

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「〈いのち〉を居場所に与贈して〈いのち〉の与贈循環を生み出そう」

〈いのち〉とは「存在を続けようとする能動的な活き」である。

                                             (清水博)

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◎9月は勉強会は中止で、9月22日に「場のシンポジウム」が

開催されました。

 

ご参加頂いた方々、大変有り難うございました。

 

大変好評に終了いたしました。

 

 

内容について:

 

NPO法人 場の研究所 主催 「場のシンポジウム2016」

 

     『与贈を巡る〈身体〉と〈経済〉』

  ~新しい医療と経営を支える共存在原理~

 

 

・講演内容

 

『共に生きていく原理を求めて』NPO法人場の研究所 所長 清水 博

 

『身体を癒す調和の〈場〉』東京大学附属病院 医師 稲葉 俊郎

 

『〈場〉をつくる健全な負債感』クルミドコーヒー 店主 影山 知明

 

 

日 時 2016年9月22日(祝・木)13:00-17:30

 

場 所 エーザイ株式会社 大ホール(東京都文京区小石川4-6-10)

 

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基調講演として清水先生からは、『共に生きていく原理を求めて』

というテーマで、今の時代に必要な場の理論「与贈循環による

<いのち>の自己組織化と与贈共同体(二領域的世界)への転回

について」講演がありました。(詳細は後述)

 

二つめの講演は、

『身体を癒す調和の〈場〉』と言うテーマで稲葉 俊郎先生より、

「こころ全体性とからだの全体性の調和が重要である。

 

即ち、からだでは、約60兆個という多くの細胞が協力的に

はたらいてからだ全体の〈いのち〉を自己組織している。

 

決して、善悪が対立する場ではないのに、近代医学では

「悪を撃ち殺す」という考えのもとで治療をおこなっている。

 

しかし、からだ本来の自己組織性を強めるという方向の

医療も考えられる」ということをスライドでわかりやすく

説明していただきました。

 

三つめは『〈場〉をつくる健全な負債感』と言うテーマで、

西国分寺にある人気のクルミドコーヒー 店主 影山 知明氏に

プレゼンテーションしていただきました。

 

地域を限定して、その地域のお客様に経済的なバランスを

崩さない範囲で与贈することがお客様に健全な負債感を

与えて、お店の好意的な評価を地域社会に広めると共に、

お客様の再来を招き、また従業員にも、それぞれの個性を

活かして主体的に活く意欲を与える」と、これからの経済を

生み出すためには地域社会における与贈循環が大切であること

を具体的に説明していただきました。

 

お二人の持ち前の迫力のある興味深いお話で参加者も

納得されていました。

 

 

詳細内容については、清水先生の講演資料のみを添付いたします。

 

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基調講演『共に生きていく原理を求めて』

 

1.はじめに現状分析から:今の世の中は?

 

今、人間の存在にからんだ困難な問題が生まれています。

 

その困難な問題とは、人類が努力してつくりあげてきた

"民主主義、資本主義、機械化、IT"といった、各社会の基盤、

それを支えてきた人間観が大きな壁にぶつかっていることです。

 

人間が知恵を傾けて積み上げてきたこれらの文明によって、

競争原理で競争をしたり、機械的にルール化することで、

多くの"つながり"を失い、人としての存在を認識しづらい

世の中になってしまいました。

 

それは、人間の存在を否定する活きに文明が転じている

ということです。

 

2.理論の創造: 諸事実の統一的な説明を可能にする仮説づくり

 

生活体(生きていくもの)に関する4つの仮説

 

(1)生命は存在しない。存在しているのは〈いのち〉。

  〈いのち〉=存在を維持しようとする能動的な活き

 

(2)生活体は〈いのち〉を生み出しつつ、

   その能動的な活きによって存在していく。

 

(3)生活体には、生み出した〈いのち〉を、

   自己が存在する居場所に与贈する与贈主体がある。

 

(4)複数の生活体から居場所に与贈された〈いのち〉の

     活きが一定の閾値を超えると、〈いのち〉の

     自己組織がおきて居場所の〈いのち〉が生成する。

 

(1)、(2)の説明

◎生命・命は→物理的な細胞のあつまり。生きているもの!

 目で見える外在的世界で物質として捉えています。

 そこには内面の自己を見るという行為自体がありません。

 

◎〈いのち〉とは、存在し続けようとする能動的な(創造的)活き。

  即ち、生きて行くもの!死線を越えて、前向きに生きて

  いこうとする生きものの主体的で創造的な存在のあり方です。

 

 (3)の説明

◎場の理論では、そこに生活する生きものによって生まれる

 居場所の〈いのち〉があります。

“家庭”というと、そこには家族みんなで存在していることに

 よって生まれる“家庭と いう場の〈いのち〉”があります。

 なんとなくその空間にある特別な何かの活きを感じられる

 のではないでしょうか。

 

◎与贈をする

 家族が病気になったとき、みなさんは家族のために何か

 手助けをすると思います。その際、後で見返りをもらおう

 とは考えていないはずです。

「相手のことを想い、自己の〈いのち〉を見返りなしに場に

 与え贈る行動をとる」、それが与贈です。

 

(4)の説明

◎居場所に〈いのち〉が生まれる(内在)

 生きものたちが居場所に与贈をすることで、居場所の

〈いのち〉が生まれます。

 1度やっただけでできるとは言えませんので、

 生まれないじゃないかと思わないでください。

 与贈し続けることが必要です。

 このように、居場所に居場所の〈いのち〉が生成される

 ことで、未来に向かって存在を続けることができ、

 さらに〈いのち〉の与贈を次々と繰りかえしながら

 生きていくことを、“〈いのち〉の与贈循環”といいます。

 

 そして、そのレベルが一定の閾値を超えると、〈いのち〉の

 自己組織がおきて、居場所の〈いのち〉が生成するのです

 

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3.以上の仮説から言えること

 

◎与贈が少ないとき:

 自己の〈いのち〉だけが活く一領域的世界を生きていく。

 

◎与贈が多いとき:

自己の〈いのち〉と自己を包む(自己組織された)居場所の

〈いのち〉とがつながって活く二領域的世界を生きていく。

 

⇒二領域的世界では、生活体の〈いのち〉の活き(鍵)と

居場所の〈いのち〉の活き(鍵穴)が相互に誘導合致して

整合的につながることにより、居場所に「〈いのち〉の

与贈循環」が生成して、生活体が共に生きていく

「与贈共同体」が生まれる。

 

⇒与贈共同体では、〈いのち〉の与贈循環によって、

居場所を「舞台」にした即興劇」が生まれ、生活体は

その「役者」として、唯一の存在としての自己の存在を

与贈によって表現し始める。

 

〈いのち〉の自己組織の拘束条件:

 居場所の空間と即興劇の筋道を限定する活き。

 居場所の〈いのち〉が自己組織されるためには、この活きが必要。

 

 

4.地球の〈いのち〉の回復

 

◎自滅の原理:居場所としての地球を分離した一領域的世界

  排除の論理(競争、力、セックスの一領域論理)

  存在の無意味化

  巨大なゲーム板と無数の選択ボタン(シャノンの情報)

  選択ボタンを押し続ける自由しかない現代社会

 

◎科学的生物学の原理 → 「生物の世界」は与贈共同体である

 (二領域論理)   (二領域的世界では死も居場所への与贈)

 

◎人類の未来を変える与贈共同体(二領域的世界)への転回 

 生きて存在していることに意味を生みだしていく居場所の即興劇 

 存在に意味を生み出す鍵(表現)と鍵穴(状況)の相互誘導合致

 新しい意味を生成し続ける創造的な〈いのち〉の与贈循環

 

 

5.二重相互誘導合致(〈いのち〉の二重与贈循環)   

   自己の外部環境と内部環境との二重の相互誘導合致

 

◎〈いのち〉の医療:

 二重誘導合致によって自己を内外の環境に合致させる外部環境と

 内部環境の間の〈いのち〉の与贈循環を強めて、自己の心身を治療する。

 

◎人工的な居場所の改造:

 外部環境を地球、内部環境を目覚めた人びととし、

〈いのち>の医療の原理を応用して人工的な居場所を改造する。

  

 

6.地球における持続可能な富:(参考:『〈いのち〉の自己組織』)

 

◎居場所における富とは、〈いのち〉が生み出す「存在の富」である。

 

◎存在の富とは、生活体と居場所を与贈循環する〈いのち〉の総量である。

 (〈いのち〉の与贈循環が生活体の存在を支える)

 

◎縄文時代の豊かさは、与贈される〈いのち〉の豊かさ

 

⇒存在の経済活動とは存在の富を地球に生産し循環させる活動である。

                         (清水 博)

 

 

■シンポジウムの様子などはホームページをご覧ください。

 

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■勉強会のご案内

 

テーマ:「シンポジウムの振り返りと今後の方向性」

 

日時:10月28日(金曜)17時から19時30分まで

 

スタートは従来通り15時からワイガヤ的に議論を進めて、

17時より勉強会を行います。

 

場所:特定非営利活動法人 場の研究所

 

住所:〒170-0004 東京都豊島区北大塚 1-24-3

 

Email:info@banokenkyujo.org

 

参加費:会員…5,000円 非会員…6,000円

 

申し込みについては、毎回予約をお願いいたします。

  (なお、飛び入りのお断りはしておりません。)

 

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■編集後記

シンポジウムでの内容ですが、清水先生の4つの仮説が

「今後の時代を生きるために必要となる仮説である。」

言う提言であったと思います。

 

約80名の参加をいただき、充実した講演会でした。

 

特に、ご協力いただいた、エーザイ株式会社様、

ブルームコンセプトの小山様、片岡様、有り難うございました。

 

感謝しております。

 

なお、11月は従来の第3金曜日ではなく、

第4金曜日の10月28日に勉強会を開催いたしますので、

よろしくお願いいたします。

 

特定非営利活動法人 場の研究所

住所:〒170-0004 東京都豊島区北大塚 1-24-3

電話・FAX:03-5980-7222

Email:info@banokenkyujo.org

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