今回の「福島からの声」は、みうらひろこさんの短歌の連載の第4回目です。
福井県の高浜原発が先日、再稼働されました。この政府の原発再稼働ありきの方針と「安全基準」を楯に、なし崩し的に突き進んでいく今の日本の在り方に強い憤りと怒りを覚えるのは私だけではないと思います。
今回のみうらさんの詩にあるように「贅を求めて」原子力依存へと進んできた、これまでの私たち日本人の生き方が、今ほど、厳しく問われているときはありません。
みうらさんの短歌からは、その心に鏡のように映されている福島の真実の姿が伝わってきます。私たちはここから学び、そして本当の未来の居場所への一歩を創り出していかなくてはならないのです。
(本多直人)
みうらさんからのメッセ-ジ
平成29年3月.31日。浪江町は一部避難解除になりました。しかし、この6年の間に多くの住民は、避難先で住居・家を求めたりして戻る人は2000人にも充たないそうです。
除染してもまだ線量高いホットスポットが沢山あります。インフラも整備されておらず、病院も無い町です。政府は無理やり帰れと言っているようです。政府関係者にもそうしたところに住んでほしいと私達は考えてます。
防護服 着馴れぬ手つきの我見かね 夫結び呉るる脚カバ-の紐
これよりは いよいよとなる線量の 高き地域に一時帰宅す
古里の 帰還叶わず埋み火を いだきしままに逝く人の在り
ため込んだ 怒り悲しみ解き放つことは 自から死すというかや
人住まぬ 町の予報を映し出す 浪江の天気は今日も晴天
「復興の街づくり」せる委員会の ワ-クショップに我れも参加す
雑草むしる 愛着湧きてこの庭に 避難生活長引けばなお
決意とは 避難先より戻ること 留まることへの二股の選択
セシウムの 含量計りに持ち行くと 香り新し牧草積みし
限りなく 贅を求めて原子力 神話崩れて廃墟の故郷