福島からの声 2018年7月

今回の「福島からの声」は、これまでに続いて、根本洋子さんの俳句集「避難解除」の中からの掲載させて頂きます。

熊本の大地震に続いて大阪を中心とする近畿地方にも大きな地震が発生しました。

日本がいかに地震の多い国土であるのかを、改めて痛感させられた方も多いと思います。

このような地盤の不安定な場所に、今も54基もの原発が存在し、そして現在も福島で起こった凄惨な放射能災害に対し、収束する目途すら立っていないという現実があるのです。

一部の人間が利益を得るためだけに、今も再稼働を推進する動きは止まりません。

原発の再稼働は、現在の生活の便利や安楽の為に、地球という私たちにとっての大切な居場所の〈いのち〉を壊し、負の遺産を未来の子供たちに残していく暗い道でしかないのです。

今回のみうらさんの詩から感じられるのは、原発事故によって失われた居場所の〈いのち〉の姿です。

今、地震を身近に感じているときだからこそ、私たちは、この「福島からの声」に耳を傾け、苦しみや悲しみ、痛みを心に近づけて、希望ある未来への一歩を問いかけていかなくてはならないのではないでしょうか。              (編集者 本多直人)

 


作品「避難解除」より

 

梅雨の薔薇 我れに娘が い‍‍たことも

 

龍骨を 晒し廃船 泡立草

 

ソ-ラ-の パネル蒲公英 津波の地(相馬市磯部)

 

春雷や 避難解除の 役場の灯

 

仮設舎を 出でし便りや 余花の雨

 

帰らない 帰れないよと 雉子鳴く

 

還れよと 促すような 花便り

 

燻ぶりを 抱えしままや 初燕