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場の研究所メールニュース 2019年03月号

このメールニュースはNPO法人「場の研究所」のメンバー、
「場の研究所」の関係者と名刺交換された方を対象に
送付させていただいています。
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場の研究所 定例勉強会のご案内 

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  ホームページ:http://www.banokenkyujo.org/ 

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「〈いのち〉を居場所に与贈して〈いのち〉の与贈循環を生み出そう」 

〈いのち〉とは「存在を続けようとする能動的な活き」である。 

                        (清水博) 

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■2019年3月のメールニュースをお届けいたします。 

 

◎2019年2月の勉強会は「場の研究所」で2月15日(金)15時から19時30分まで開催しました。15時からワイガヤ的に議論を進めて、従来通り17時より勉強会を行いました。

まず、15時からは、場の研究所文庫からかつて発刊した「転換期を生きる君へ」一部を印刷して、参加のメンバーで読みながら議論しました。これは2004年に清水先生が書かれたものですがその内容が現在でも十分当てはまるので、興味深く話し合いができました。

スタッフの小林さんの提案で、P104~109にある「存在の哲学」という項目の内容を中心に、彼の知りあいの方の体験を例にした「存在者と存在」についての考え方をみなさんでワイガヤをしました。身近にある、存在と存在者の課題や疑問を場の理論でなんらかのヒントをもらえることがあるように感じました。今回も完全理解を目的とするのではなく、このような考えに触れることから議論したので、有意義だったと思います。


●小林さんコメント:

とある友人とのやりとりで感じたことがありました。それは、私たちには一つの大きな思い込みがあるということです。その思い込みは、存在の話をしているつもりで、ついつい存在者について話をしてしまっているといったものです。例えば、ある問題が生じたとき、その存在者を変える為にどうしたらよいか、と考えてしまいます。しかし、問題の本質は、「存在者でなく、存在そのものを変えるためにはどうするか」ではないでしょうか、と清水先生はおっしゃいます。

 

今回、題材にした私と私の友人との往復書簡は、その具体的な例となっていたように感じています。そして、存在そのものを変えるためには「存在者としては別でも、居場所を共有すること」であるということが、やり取りの中から感じられたように思います。このことは、引き続いての勉強会のテーマに繋がるものであったと思っております。

 

 

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★17時からの清水先生による勉強会

仮題「〈いのち〉に立つと見えてくるもの」を予定していましたが、「生きていく存在の科学」というテーマでお話が始まりました。内容としては、東日本大震災の年に新潟県で開かれた林間学校での話から始まりました。「生きていること、生きていくこと」の違いを会場の人々に聞いたときに、皆がこたえられない中で、
たまたま福島から来ていた小学生がすぐ手を上げて、的確な回答をしたことを例に説明されました。ハイデッガーの存在と時間の話にも触れ、我々は時間を作りながら生きていくこと、その時間は、その人の未来へ向かう「存在のベクトル」のつながりであり、場の理論では、その形は場を「舞台」として人々が「役者」となって演じる即興的な「〈いのち〉のドラマ」の形をしていると話されました。

 

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テーマ:「生きていく存在の科学」

東日本大震災の年に被災者の中高生を対象にして新潟県で林間学校を開いたとき、そこに大人や子供たちもたくさん混じっていたので、予定していた話の内容を変えて、「皆さん!「生きていること」と「生きていくこと」がどう違うか分かりますか」と全員に尋ねたところ、大人や中高生が首をかしげる中で、福島
から来ていた小学生がすぐ手を上げて「「生きていること」は今のこと、「生きていくこと」には未来が必要です。」と答えました。これは「未来があってこそ、生きていくことができる」という真実が、原発の被害によって福島から失われたために、自分自身の体験によって、その本質を言い当てたものと思いました。
この「生きている」と「生きていく」の問題は現在でも福島で争われているばかりでなく、沖縄県の辺野古の埋め立てに対しても安倍政権と沖縄県民の間でおきている深刻な問題です。

 

人間は自分の存在の未来を居場所に託し、その居場所に生まれる場を「舞台」にして、「役者」となって「〈いのち〉のドラマ」を創出しながら未来に向かって生活していきます。その未来が存在しないということは、その「ドラマ」の舞台を奪われるということなのです。「舞台」があってこそ、人生に夢も生まれる
のです。主客分離の形をとっている現在の科学技術によって文明を進めていくことは、人々の主観的(主体的)な思いから離れて、客観的に「生きている」
ことのためだけを頭に置いて、主客分離的な空間やAIを発展させていくことが、「生きていく」ために必要な「舞台」となる〈いのち〉の居場所を消滅させて、人々からその未来(「役者」としての存在)を奪っていくことになっているのです。

 

このような近代科学の主客分離性の上に立って、人々の欲望にしたがって便利と所有を追い求めていくことによって生まれてきた空間や機能から、多くの人々の存在そのものがはじき出されて、その〈いのち〉の居場所を失いながら、主客分離的な空間や機能にすがりつくようにして生きていかなければならないという「存在の矛盾」が近年非常に明瞭になってきました。主客非分離の形の
〈いのち〉の居場所とその舞台を生成していく「生きていく」ための文明の形を人間自身が取り戻していく必要がどうしてもあります。

 

そのはたらきをしていくと期待させるのが、多様な人々が互いの存在がつながることを喜びにして集まる「市井の居場所」(Townの居場所)です。現代文明は空間から人々を追い出すようにして主客分離的な空間を自己組織的に広めて行く「空間の文明」ですが、この「Townの居場所」は機械化されたその
空間のその裏側で、人々が生きものとしての互いの存在に引かれるようにして静かに集まり、見かけの空間を越えて互いの存在の表現が自己組織的につながっていく「時間の文明」の萌芽です。

 

それは昆虫の幼虫の見かけの「空間的な形」の裏で静かに、多様な細胞の活きが自己組織しながら時間的につながっていくことによって進んで行く成虫への変態のようです。そのような空間から時間への転回がすでにあちこちに見られ、人々の気持ちを引きつけるようになっています。

 

◎キーワード:

・存在しているもののことを「存在者」

・存在者が示す「活き」や「意味」を「存在」という。

・居場所は「存在者」としての空間であり、そこに生まれる「場」は
「存在としての空間」である。

・「生命」は存在者が生きていることを示す「存在者の内的存在者」として
考えられた概念。

・未来から始まる!地球から個へ!「場」からスタートする。

 

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■2019年3月の勉強会のご案内

3月も従来通り、第3金曜日に大塚の「場の研究所」で勉強会を開催いたします。
◎日時:2019年3月15日(金曜日)
    15時から19時30分までの予定です。
(従来通り15時からワイガヤ的に議論を進めて17時より 勉強会を行います。)

◎勉強会テーマ:
仮題「時間の自己組織と〈いのち〉のつながり」をさらに徹底して考えてみます。

 

場所:特定非営利活動法人 場の研究所
住所:〒170-0004 東京都豊島区北大塚 1-24-3
Email:info@banokenkyujo.org

参加費:会員…5,000円 非会員…6,000円
申し込みについては、毎回予約をお願いいたします。
  (なお、飛び入りのお断りはしておりません。)

■編集後記
 今回は、15時からは「存在」と「存在者」や「居場所」などを議論しました。著書「転換期を生きる君へ」の紹介もあり、認知症などを含めた介護の現場での悩みにおける考え方についても良い議論ができたと思います。

さらに、清水先生の勉強会での理解が深まったと思います。

3月は第3金曜日の3月15日に勉強会開催です。是非、ご参加ください。

 

なお、「転換期を生きる君へ」の著作は、オンデマンドで入手可能ですので、購入希望の方は、HPの出版物を検索のこと。

・場の研究所文庫VOL.1「転換期を生きる君へ」清水博(著)

オンデマンド印刷:111ページ

出版社: 博進堂(オリジナル 2004/10/30)

>> amazon.co.jp

>> 楽天ブックス

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定非営利活動法人 場の研究所
住所:〒170-0004 東京都豊島区北大塚 1-24-3
電話・FAX:03-5980-7222
Email:info@banokenkyujo.org
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