このメールニュースはNPO法人「場の研究所」のメンバー、「場の研究所」の関係者と名刺交換された方を対象に送付させていただいています。
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場の研究所 定例勉強会のご案内
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ホームページ:http://www.banokenkyujo.org/
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「〈いのち〉を居場所に与贈して〈いのち〉の与贈循環を生み出そう」
〈いのち〉とは「存在を続けようとする能動的な活き」である。
(清水博)
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■2019年4月のメールニュースをお届けいたします。
◎2019年3月の勉強会は「場の研究所」で3月15日(金)15時から19時30分まで開催しました。15時からワイガヤ的に議論を進めて、従来通り17時より勉強会を行いました。まず、15時からは、勉強会のテーマの一部を先行的に議論するということで、スタッフの小林さんの提案で下記のキーワードの違いを各個人がどう考えているか、感じているかを話合いました。これは、最近AI化の話がクローズアップされて、なんでもAIが人に置き代わるように言われていますが、統計と確率そして効果効率で進める分野にとっての価値はあるかもしれませんが、これで良いのかという疑問があり、生き苦しい世の中ではいけないと感じているからです。
・生きている⇔生きていく
・存在者 ⇔ 存在 (生きていく)
・客観的 ⇔ 主観的(主体的)
清水先生から常に語っていただいているキーワードなのですがあらためて自分の言葉としてとらえると、結構理解に違いがあり、議論することで理解が深まっていったと思います。やはり、右側のキーワードを重視した社会なり人間関係が必要であると理解して終了しました。
清水先生からは、存在のためには居場所が重要であっても居場所を作る(能動的)⇒ 居場所が作られる(受動的)というように、右側の受け身になったものは、本来の存在としての居場所にはなりきれていなくて、居場所となるために時間が必要であるとコメントがありました。人びとの〈いのち〉が位置づけられることによって居場所が完成するからです。靴が本当の靴となるためには、そこに使い手の足が位置づけられて、使われることが必要であることに似ています。居場所に位置づけられるものは存在者(モノ)でなく、その存在(コト)です。
●小林さんコメント:
今回の15時からの時間では、「生きている」ことと「生きていく」こと、「存在者」と「存在」、「客観的」と「主観的」、これらを比較してみることで、「もう一つの科学」や「生きていく」や「存在」について学ぶ助けになればと考えて、それぞれについて、具体的に身の回りにあることを題材にしながら話し合ってみました。
話し合いの中で改めて実感したことは、「生きている」こと、「存在者」、「客観的」ということに、思った以上に影響を受けながら生活しているのだなぁということでした。
また、「生きている」ことと「生きていく」ことは(「存在者」と「存在」もまた)、根本的な論理が異なっていて一緒に混ぜて使うことはできないのに、それらが話の中で混在してしまい、話が混線してしまうことが見受けられました。
これは、これまで、「生きていく」ことや「存在」、「主観的」といったことが、明確に言葉にされてこなかった歴史が影響しているのかもしれません。
そういう意味では、これらのキーワードについて、今以上に積極的に興味を持つことが必要なのではないだろうか。
そんな思いを持った時間でした。
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★17時からの清水先生による勉強会
テーマは仮題「時間の自己組織と〈いのち〉のつながり」でしたが、「もう一つの科学」というテーマでお話が始まりました。内容としては、「生きていること、生きていくこと」について、『既に、「〈いのち〉の自己組織」にも書いてきたが、実際には2007年にこのテーマについて考えていた資料があり、改めて見直すと良い内容なので、合わせて検討していきたい。』というコメントを頂き、勉強会がスタートしました。
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テーマ:「もう一つの科学」
科学の特徴は自然を人間の外側に分離して観察する主客分離です。その結果、客観的な形で自然の法則が得られ、その法則を数学によって、厳密に表現する方法が開かれています。そのために、明らかにされた自然の法則を世界の誰もが知ることができ、また使うことができる道が開かれていることから、人間のために自然を活用する道が生まれて、科学的成果を人間の技術に応用していくことができるようになりました。そこで、技術の分野が急速に広がって、近代文明を飛躍的に発展させてきました。
またその影響を受けて医療も変わり、私たちのライフスタイルも大きく変化し、「豊かな生活」を送ることができるようになりました。このことからも、人間と科学を今後の文明から切り離すことはできません。
このように科学が人間の生活に大きな変化をもたらして、現代文明の柱となっている恩恵の反面で、その負の面もますます大きくなってきて、人類が存続するためにも、もはやその負の面を無視できなくなっています。それは科学成立の基盤である主客分離の影響によって、科学技術が発展するほど文明から人間の存在が大きく切り離されて、人間が居場所を失ってしまい、その主体性を維持していくことが困難になっていくことが目立ってきたからです。
その典型的な例が、AIロボットによって多くの人びとが職場を追われたり、日常的な生活を維持し、心のコミュニケーションに重要な役割を果たしてきた街の洗濯屋、豆腐屋、理髪店などが人びとの周辺から消えていき、高齢者を始め、生活の弱者が孤立化していくことです。つまり、人間が受動的な立場におかれて、その日常生活から生き甲斐が消えていくのです。
このようなことから、主客分離を基盤にした現在の科学の他に、主客非分離を基盤とする「もう一つの科学」が必要になってくるのです。この「もう一つの科学」については、清水 博『〈いのち〉に自己組織』(東大出版会)で簡単に紹介されていますが、現在の科学が「生きている」ことしか取り扱えないのに対して、これまで分離されてきた〈いのち〉から出発して、居場所に「生きていく」ことを取り扱うことができるので、居場所と人間の関係や、人間の多様な主体性を考えていく上で重要なはたらきをして、真善美の世界を開拓していくものと期待され、現在の科学技術によって生まれた文明の穴を埋めていくと期待されます。これはもう一つの近代を創造することにもつながっていくのです。
今回の勉強会では、「もう一つの科学」の構造と「生きていく」ことの関係を考えました。
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前回も掲載しましたが同じキーワードが重要と考えます。
◎キーワード:
・存在しているもののことを「存在者」
・存在者が示す「活き」や「意味」を「存在」という。
・居場所は「存在者」としての空間であり、そこに生まれる
「場」は「存在としての空間」である。
・「生命」は存在者が生きていることを示す「存在者の内的存在者」として考えられた概念。
・未来から始まる!地球から個へ!「場」からスタートする。
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■2019年4月の勉強会のご案内
4月も従来通り、第3金曜日に大塚の「場の研究所」で勉強会を開催いたします。
◎日時:2019年4月19日(金曜日)
15時から19時30分までの予定です。(従来通り15時からワイガヤ的に議論を進めて17時より 勉強会を行います。)
◎勉強会テーマ:仮題「もう一つの近代の柱となる「〈いのち〉とその救済」について」をさらに徹底して考えてみます。
場所:特定非営利活動法人
場の研究所住所:〒170-0004 東京都豊島区北大塚 1-24-3Email:info@banokenkyujo.org
参加費:会員…5,000円 非会員…6,000円申し込みについては、毎回予約をお願いいたします。
(なお、飛び入りのお断りはしておりません。)
■編集後記今回も、15時から「存在」と「存在者」や「居場所」などを議論しました。そのつながりで、清水先生の勉強会での議論の「もう一つの科学」としての「生きていくこと」はわかり易くなったと思います。
4月は第3金曜日の4月19日に勉強会開催です。
是非、ご参加ください。
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なお、今年1月からトライレベルでスタートした「哲学カフェ」ですが、勉強会より軽い議論として進めてまいりました。
好評につき、正式に4月から多くの方の参加をお願いしたいと思います。
主旨は、1月のメールニュースに掲載した通りですが、再度お知らせします。
<告知>
場の研究所の哲学カフェ -「解くべき問題」の発見のために-
4月より「場の研究所の哲学カフェ」が始まります。
毎月第2水曜午後2時より。
次回は、4/10(水)14時からとなります。
テーマは「尊厳」を予定しています。
-場の研究所の哲学カフェは、各自の「解くべき問題」の発見や話題となった哲学を「自分の生活の哲学として使いこなせること」などを目的としています。また、哲学的な話ができる人々との出会いの場となることも期待する一つです。-
◎開催日時:毎月第2水曜日 14:00から17:00
◎場所:場の研究所(地下会議室)
特定非営利活動法人 場の研究所
住所:〒170-0004 東京都豊島区北大塚 1-24-3
TEL:03-5980-7222
◎会費:2000円
◎参加申込方法と詳細:
下記「場の研究所の哲学カフェ」ページをご覧ください。
また、参加申込は、同ページ申込フォームよりお申込ください。
https://www.banokenkyujo.org/cafe/
<場の研究所の哲学カフェについて>
哲学カフェとは、公開の場所で参加者同士が飲み物を片手に、選ばれた哲学的なテーマを自由に話し合うことだと言われているように、勉強会と異なって、それは公開の場所に自分自身の哲学を位置づけていく「〈いのち〉の即興的なドラマ」でもあるのです。
「日本文化は場の文化である」と言われながら、その場の文化を哲学的に捉えることができる人々が日本には非常に欠けています。
場の研究所の哲学カフェは、これから求められていく人々とその仲間を気軽な形で生み出していく場にもなろうとしています。
(所長:清水 博)
定非営利活動法人 場の研究所住所:〒170-0004 東京都豊島区北大塚 1-24-3電話・FAX:03-5980-7222Email:info@banokenkyujo.orgホームページ:http://www.banokenkyujo.org