このメールニュースはNPO法人「場の研究所」のメンバー、「場の研究所」の関係者と名刺交換された方を対象に送付させていただいています。
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■場の研究所からのお知らせ
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皆様
場の研究所の理事の前川泰久でございます。
コロナ感染から半年以上が過ぎましたが、なかなか状況は好転せず、世の中も外出自粛の精神的なプレッシャーが重くのしかかっております。ただ、NHKの番組のテーマに「コロナ新時代」という標題のテーマが掲げられるなど、前向きのアクションも出始めております。
このような環境の中ではありますが、まずは、人が場の研究所に集まらずにできる「ネットを介した勉強会」を既に4回開催いたしました。電子出版された清水 博『共存在の居場所:コロナによって生まれる世界』が「勉強会」の共通の基盤になっています。今回のテーマは「共存在の原理について」でした。参加されたメンバーは10数名と限られた勉強会でしたが、いろいろな共存在に関する体験からのお話や、それぞれの考えや意見が交わされて、有意義なものになったと考えています。
参加された方からも好評のコメントをいただいているので、10月も開催予定です。基本のテーマは「共存在」です。研究所としましても、実際にネット上ではありますが、「共存在」の場ができて来ていると感じておりますので、今後も、その原因を探りながら改良を重ねて継続し、広げて行きたいと思っています。
またこれまで、「ネットを介した勉強会」の内容について、メールニュースで議論状況なり、資料をご紹介してきておりますので、もし、ご感想、ご意見がある方は、下記メールアドレスへお送りください。今後の進め方に反映していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
ご感想、ご意見は、こちらのアドレスへお送りください。
contact.banokenkyujo@gmail.com
メールの件名には、「ネットを介した勉強会について」と記していただけると幸いです。
◎コーディネーターのこばやし研究員からのコメント:
現在、場の研究所が行っている(試行の段階ではありますが)「ネットを介した勉強会」ですが、少し遡って、どのように始められたのかをお話ししようと思います。
このことは、歴史的時間の生成の共有など、共存在を考え、実践していく上で手掛かりになるかもしれないと考えたからです。(ただし、端から、共存在の実践をしようと目論みたのではなかったと言うことは、はじめにお伝えしておきます。)
当初、「(大塚での)「勉強会」をインターネット上でどのように行えば良いか?」と考えていたときは、よい考えは一つも出てきませんでした。
そこで、先ず、拘束条件をリストしてみようと思い…。
・集まらないこと
・参加の技術的障壁を下げること
・清水先生の参加の必要
とリストしました。
特に3つ目は、先生は、聴覚に自信がないとおっしゃっていましたので、昨今のパソコンやスマートフォンを介して行う対面の会議ツールなどは向かないと考えました。
私は、結果的に、この3つめの拘束条件が、今の「ネットを介した勉強会」を生んでくれたのではないだろうか、と今は考えています。
そして、この3つを眺めていたとき、ぼんやりと、ああ自分は、「(場の研究所としての)新しい学ぶ機会を作りたい」のだな、ということに気がついたのです。
そうすると、「往復書簡」、「誰かの思いを想う」、「妨げるものを取り除く」など、発想が生まれて、「ネットを介した勉強会」の構想がまとまりました。
また、振り返って見れば、当初の「「勉強会」をインターネット上でどのように行えば良いか?」という発想は、「私にとって、役にたつイベントをどうやって受け取るのか」、という視点であったと思います。
ところが「新しい学ぶ機会を作りたい」は、その願いに対して、私は何ができるだろうか?という視点に切り替わっているように思えます。
これらのことによって、この後、皆さんへの声かけが「新しい学ぶ機会を一緒に作りませんか?」となったことは、「ネットを介した勉強会」にとって大事な点であったように考えます。
清水先生は、「全体的な構想がまずあって、個はそれに合わせて自己の形を創出する。全体の構想は拘束条件と希望によって決まるのです。」とおっしゃっています。
今回、一番の弱点と思われる拘束条件に沿おうとすることによって、構想が芽生えたことは、私は、大きなヒントなのではないかと思わずにはおれません。
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◎「ネットを介した勉強会」の9月のテーマ「共存在の原理について」の資料
(清水先生の資料)
共存在の原理について
『共存在の世界』を分かりやすくまとめて解説すると、
新型コロナウイルスによって、人間の世界に一種の精神的革命がおきつつあり、その革命が行き着く先が「共存在の世界」です。これまでの自我中心的な物質文明(単存在の文明)から、共存在(利他利己性)を基盤にした新しい精神文明が生まれようとしているのです。その革命のプロセスを示すのが共存在の第二原理(歴史的相互誘導合致)です。苦しいなかに、明るい未来を画いて進みましょう。(共存在 = 存在が共に成立すること)
共存在の原理を明確にしておく必要があります。そこで相互誘導合致を第一原理、歴史的相互誘導合致を第二原理と呼ぶことにします。第一原理は「調和の生成原理」、第二原理は「歴史的時間の生成原理」です。この第二原理は「存在の生成原理」でもあります。
それぞれ、どんなときに見られるでしょうか。
第一原理:調和の生成原理
多様な部分が全体(居場所)に共存在しているとき。
西田哲学の「矛盾的自己同一」に相当する全体と部分の動的平衡の生成
居場所への〈いのち〉の与贈が与贈循環を生んで調和をもたらす。
第二原理:歴史的時間の生成原理(または歴史的存在の生成原理)
多様な部分に、全体(居場所)による従来の拘束(第一原理)を越えて、
共存在をベースにした新しい環世界(居場所)の歴史的発展が必要になるとき。
環世界(居場所)における暗在的な歴史的時間を(体験的に1ステップ)生成する。
そのことは(居場所における歴史的時間としての)自己の存在の生成でもある。
分かりやすくたとえると、
第一原理は「風船の原理」(全体が調和的な平衡になる)
第二原理は「ドラマの原理」(〈いのち〉のドラマの創出 ← 舞台と役者の存在の時間的統合)
舞台の状態変化を見ながら、自己の存在の時間的変化を想定して先行的に表現していく
創造の世界では、現場における原初以来の体験の活用(第二原理)が重要。
美(共存在感情)とその創造
窯の火のなかの焼き物の存在を想定しながら、河井寛次郎『いのちの窓』は言う。
美はすべての人を愛して居る
美はすべての人に愛されたがって居る
美はすべての人のものになりたがって居る
創造の時間は歴史的時間の創造でもある。
岸田劉生「僕の画は、前に立ってじっといつ迄も見ていて欲しい。はじめ見た時より、後になる程画に力が加わらなかったら、僕のせめではない。・・・・・心を静かにしてじっと味わって欲しい。しんとして来なかったら僕のせめではない。」(← 劉生の体験=「内なる美」が描かれている)これも「居場所における〈いのち〉のドラマ」を物語っているのではないだろうか。
共存在の時代に重要なもの:居場所における内なる美(真善美)のドラマ、もはや、物質ではない!
歴史をつくるとは?
「生きている毎日」を「生きていく毎日」に変える。
新しい惑星に漂着して、未知の生きものと一緒に生きていくことになり、そこで新しいできごと(「鍵」)にぶつかったときに、それを解決するために自己が当てにするのは、「地球の上では、生きものは原初以来このように生きてきた」という「生きていく体験の蓄積」としてのこれまでに生まれてきた「鍵穴」としての阿頼耶識(深層意識)です。そこでその阿頼耶識を活用して、とにかく新しい現実にぶつかってみて、そこで生まれる歴史的時間の1ステップをまた阿頼耶識に加えて「鍵穴」を新しくして、その新しい阿頼耶識を使って、次の現実にぶつかるということの繰り返しです。これが「切ってはつなぐ」と言うことです。そのようにしながら、歴史的時間が1ステップずつ進んで、新しい居場所における「〈いのち〉のドラマ」が進行していきます。
阿頼耶識のなかには、〈いのち〉の原初以来人類がたどったさまざまな体験や、またさまざまな居場所におきたできごとが存在している訳ですし、またその体験は地球における〈いのち〉の歴史に密着して、〈いのち〉の世界に広く包まれていますから、私たちの意識を遙かに越えた存在です。その〈いのち〉の体験の世界が、私たちの日常を遙かに越えて私たちを包んでいるところに、ルドルフ・オットーの「聖なるもの」ヌミノーゼが想定されるのです。
昆虫の変態のように、体全体の姿が突然大きく変わりだしたことを、その細胞はどのようにして知ることができるでしょうか。また、どのような姿に向かって、全体が変化しているかを知るにはどうしたらよいでしょうか?体全体と細胞の間には、共存在の第一原理がはたらいていますから、細胞も全体と同時に変化をしていきますので、そのままでは変化とその方向がよく分かりません。そこで、細胞は自己自身の変化を止めて全体の変化を見る必要が出てきます。これが、時間を切って全体を見て、またつないで見ることが必要な理由です。
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以上のような資料をベースにした議論を行いました。
◎「ネットを介しての勉強会」開催について
10月も場の研究所スタッフと有志の方に協力いただき、メーリングリスト(相互に一斉送信のできる電子メールの仕組み)を使った方法で、通常の第3金曜日ではなく、月末の10月23日の17時から、開催する予定です。テーマと進め方は清水先生とこばやし研究員で検討後、またご連絡いたします。
また、参加にご協力をいただく方には別途ご案内させていただきます。
(参加者の方には勉強会の資料を早めに送ります。)
11月以降、状況の好転があれば、イベントの開催について、臨時メールニュースやホームページで、ご案内しようと思います。
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今後の、イベントの有無につきましては、念のために事前にホームページにてご確認をいただけるよう、重ねてお願い申し上げます。
2020年10月1日
場の研究所 前川泰久