このメールニュースはNPO法人「場の研究所」のメンバー、「場の研究所」の関係者と名刺交換された方を対象に送付させていただいています。
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■場の研究所からのお知らせ
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皆様
場の研究所の理事の前川泰久でございます。
コロナ感染が、また拡大の様相を呈してきてしまい、首都圏などは不要不急の外出自粛の状況になってしまいました。リスクの高い状態がいつまで続くのか心配をしております。
毎回、お知らせしているように、「ネットを介した勉強会」は11月で6回目の開催となりました。これは電子出版された清水 博『共存在の居場所:コロナによって生まれる世界』が「勉強会」の共通の基盤になっています。さらに毎回、時間をかけて勉強会のためのテキストをつくり、事前にお読みいただくように参加希望者に送っています。
今回のテーマは「歴史的相互誘導合致と人生」というテーマで開催しました。参加された有志メンバーは15名くらいでしたが、今回も皆さんの体験からのお話や、いろいろな角度からの考えや意見が交わされました。
この、勉強会は、12月も開催予定です。基本のテーマは「共存在」です。研究所としましても、実際にネット上ではありますが、「共存在」の場ができて来ていると感じておりますので、今後も、その原因を探りながら改良を重ねて継続し、広げて行きたいと思っています。
これまで、「ネットを介した勉強会」の内容については、メールニュースで議論状況や資料をご紹介してきておりますが、もし、ご感想、ご意見がある方は、前回同様、今回も下記メールアドレスへお送りください。今後の進め方に反映していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
ご感想、ご意見は、こちらのアドレスへお送りください。
contact.banokenkyujo@gmail.com
メールの件名には、「ネットを介した勉強会について」と記していただけると幸いです。
◎コーディネーターのこばやし研究員からのコメント:
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こばやしです。
今回は、「ネットを介した勉強会」のやり方について、簡単にまとめてみました。
改めてこのようなまとめを行ったのは、身近な環境で、それぞれの学習の継続のための仕組みとして、試みていただけると嬉しいな、と思ったからです。
また、試みたその後、その場で起きたこと、起きなかったことなど、共有していくことで、新たな学習の機会が広がることも期待したい点です。
「ネットを介した勉強会」その手順。
受信した最初の資料を読み、参加者全員が返信します。
ここで一区切り。
皆の返信を読み、再び返信します。
ここで、また、一区切り。
その再びの返信を読み、更に返信します。
手順としては、これでしまいです。
「ネットを介した勉強会」は、ネットを介した「オーケストラ」というモデルで考えています。
ここで最初の資料は、演奏しようとしている「交響曲(の楽譜)」です。
参加者は、それぞれが「楽団員」で、自分しか演奏することができない「楽器」を演奏(返信)します。
指揮者の誘導で、1回目、2回目、3回目の返信が区切られます。
この区切りの間に、参加者は、自分がよいと思う方向へ「演奏」を修正しながら進みます。
このように「交響曲」を「演奏」していけるかどうかは、「居場所」が形成されるかどうか、また、ここで共存在が生まれていくかどうか、確認のポイントとなります。
最初の資料は、「交響曲」の「楽譜」となるための条件もあると思います。
「ネットを介した勉強会」での「楽譜」は、清水先生の資料ですが、それぞれの学習において、この「楽譜」は、どのようであったら良いだろうか、という点は、試行してみてください。
これまで「楽譜」に感じたことは…。
「こうなっていくのではないか」という予感が感じられる。
私たちの問題はなんだろうか、と皆が問題を探す方向でつながれる。
と言った点があるように思います。
※ もっと詳しい話を聞きたいと言った場合など、場の研究所のホームページのお問い合わせより連絡いただけると幸いです。
大事な点を書き漏らしていました!!!
清水先生からコメントをいただけたので、以下に追記します。
「楽譜」については…。
(情報から始めるのではなく、)沈黙の中、心に浮かんだ思いから始めてみると言うのはいかがでしょうか。
追記)
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「楽譜」について私が言えることは、「楽譜」は「鍵穴」でなければならない
ということです。つまり思想性がなければ、SNSと同じことになり、議論は生まれても、非分離の居場所を生みだすことはできないのです。
暗在的な表現になることができるという能力は「鍵」からは生まれず、「鍵穴」からしか生まれません。
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以上
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◎「ネットを介した勉強会」の11月のテーマ「歴史的相互誘導合致と人生」の資料
(清水先生の資料)の前半のダイジェストを紹介します。
歴史的相互誘導合致と人生
1. 歴史は未来の方から現れて来る:
・「こうなっていくのではないか」という漠然とした予感を伴うもの。
・もしも、未来が無限定で全く見当がつかなければ、どのように生きればよいか全く見当がつかないので、未来へ踏み出すことができない。
・この状態を克明に書いた、ナチの強制収容所での話の、ヴィクトール・E・フランクル(『夜と霧』みすず書房)を参考にする。
2.強制収容所では、自分のすぐ先の未来に何がおきるかは全く不明という過酷な条件の下に常にあった。被収容者は「無期限の暫定的存在」と定義され、終わりが不確定。
★普通のありようの人間のように、未来を見すえて存在することができないので、精神の崩壊現象が始まる。自分の未来をもはや信じることができなかった者は、収容所内で破綻し、未来とともに精神的なよりどころを失い、精神的に自分を見捨て、身体的にも精神的にも破綻していった。
3.〈いのち〉の活きを頭から否定されるような強制収容所におけるこのような過酷な人生は、果たして生きる価値があるのか?という疑問に対し:
A:ここで必要なのは、生きる意味についての問いを180度方向転換することである。
1.生きることからなにかを期待する⇒
生きることが私たちからなにを期待しているかが問題なのである。
2.生きることの意味を問うこと⇒
わたくしたち自身が問いの前に立っていることを思い知るべき。
3.問題の核心は、「この苦しい自分の人生が生きることに値するか」⇒
「自分自身の存在が苦しい人生を生きるのに値するか」ということである。
◎後者の立場に立つことができた人びとだけが、過酷なナチの強制収容所で生き延びることができたと、フランクルは言っている。
★存在者としての自己は生きている人であり、存在としての自己は「役」を演じて生きていく人。したがって私たちは客観的には一人の存在者でありながら、主観的には自己の人生を演じていく存在をもっているのである。
4.生きているとは「自己が自己の〈いのち〉を生きている」ということであり、
生きていくとは「自己が居場所において居場所の〈いのち〉を受けて生きていく」
ということである。
★問題の核心は存在者と存在の差に関係している。
つまり、人生を存在者としての自分に客観的に与えられた場所と考えるか?
それとも〈いのち〉を与えられた自己が居場所の活きを受けてつくり出していくドラマと考えるか?に関係している。
◎後者の立場に立てば、「生きるに値する〈いのち〉のドラマを演じていくには、
その舞台となる居場所をどのように創出すればよいか」が問題になる。
5.歴史的相互誘導合致は、人びとが歴史的時間に耐える自己の〈いのち〉のドラマの舞台をつくりながら、その人生というドラマを演じていく原理である。
そして無自覚のうちにその原理を使って、居場所における自身の生活に歴史的な意味を発見しながら、人生という自己の歴史をつくり出していくのである。
★人生のドラマは即興劇である。その役者としての自己が、どのようにその舞台としての居場所をつくりながら即興劇を演じていくかが、「人生を生きていく」ことの中心的な課題なのである。核心は「どうすれば未来へ続くことができるか」である。
6.今回の勉強会では、歴史的相互誘導合致によって人生を生きていくことについて、具体的に考えていきたい。
…(以下、略)…
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以上の資料をベースにした議論を行いました。場の研究所では、哲学や精神から知識を切り離さないための努力をこれからも重ねていきます。
◎「ネットを介しての勉強会」開催について
12月も場の研究所スタッフと有志の方に協力いただき、メーリングリスト(相互に一斉送信のできる電子メールの仕組み)を使った方法で、通常の第3金曜日の12月18日の17時から、開催する予定です。テーマと進め方は清水先生とこばやし研究員で検討後、またご連絡いたします。
また、参加にご協力をいただく方には別途ご案内させていただきます。
(参加者の方には勉強会の資料を早めに送ります。)
なお、このメールニュースが今年最後の場の研究所からの連絡になる方もいらっしゃると思います。今年は、コロナの影響でこれまで経験したことのない活動となってしまいましたが、何とか皆様のサポートで「ネットを介しての勉強会」が継続できて、良かったと考えております。参加されなかった方々も、議論の内容をニュースの中でご確認いただけていたら幸いです。
皆様も今年は、いろいろご苦労をされていると思います。是非、来年はより良い年になりますよう、お祈り申し上げます。来年もよろしくお願いいたします。
なお、来年1月以降、状況の好転があれば、イベントの開催について、臨時メールニュースやホームページで、ご案内しようと思います。
ありがとうございました。
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今後の、イベントの有無につきましては、念のために事前にホームページにてご確認をいただけるよう、重ねてお願い申し上げます。
2020年12月5日
場の研究所 前川泰久