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場の研究所メールニュース 2021年03月号

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■場の研究所からのお知らせ

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皆様

 

場の研究所の理事の前川泰久でございます。

もう3月ということで、新型コロナによる新しい生活になって1年過ぎてしまいました。緊急事態宣言が解除される予定も報道されていますが、ようやくワクチン接種のスタートしたところですので、まだまだ予断を許さない状況です。しかし、桜の開花予想では、今年は早めとのことで、すこしでも明るい気持ちになれると良いと思います。

 

2月の第9回目の「ネットを介した勉強会」も予定通り開催できました。

(これは電子出版された清水 博『共存在の居場所:コロナによって生まれる世界』が「勉強会」の共通の基盤になっています。)

2月は「共存在における二重時間」というテーマで議論をしました。これまでの共存在における相互誘導合致と歴史的相互誘導合致についての更なる深堀りができたと思います。今回も皆さんのいろいろな経験をベースにされた意見が多く寄せられ、みなさんのメールを読む時間もかかりましたが、それだけ良い議論が出来たかと思います。

 

2021年の3月も、「ネットを介した勉強会」を開催します。基本のテーマは「共存在」であり、今月のテーマは「存在と与贈」の予定です。

毎回コメントしておりますが、ネット上での「共存在」の場ができて来ていると感じております。今後も、その原因を探りながら改良を重ねて継続し、広げて行きたいと思っています。

 

なお、これまで、「ネットを介した勉強会」の内容については、メールニュースで議論状況や資料をご紹介してきております。もし、ご感想、ご意見がある方は、前回同様、今回も下記メールアドレスへお送りください。今後の進め方に反映していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

ご感想、ご意見は、こちらのアドレスへお送りください。

contact.banokenkyujo@gmail.com

メールの件名には、「ネットを介した勉強会について」と記していただけると幸いです。

 

◎コーディネーターのこばやし研究員からのコメント:

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こばやしです。

 

今回、まとめをどのようにまとめてよいものか悩んでしまいました。

このまとめで書くことは、勉強会の内容ではなくて、勉強会そのものを話題にしたいと思っているのですが、自分自身が、この場で何が起きているのか、未だはっきりと分かっているとは言えないからです。

ですから、ここで何が起きているのか、毎回、このまとめの段階で振り返りながら考えています。

その中で、今回、気がついたことは、対面での勉強会の時には気づけてなかったことがあった、と言うことです。

それは、対面には無く、ネットには在る、と言うことではありません。

コロナによって対面できない状況が起きて、それに応えようとして、様々工夫して、今のネットを介した勉強会の形が生まれて、参加者の方々の協力もあって、勉強会は、停滞どころか加速できたように思っています。

これらを振り返った時に、もしかすると、対面している時にも、対面できない状況の際にある負の特徴は、既にあったのかもしれない、という思いでした。

その頃、私が感じていた問題は、勉強会の時間中は良いのだけれど、終わって、家に戻ってくると、あの良くわかった感じが消えてしまう、と言うことでした。

そして、それは、自分の理解力が不足しているのだ、という残念な思いとして自分に記録される訳です。

今は、それが全くないのかと言えば、そうではありませんが、勉強会の向き合い方として、自分の経験と照らしつつ受け取らないと、自分の中で、資料は知識的な資料としてだけが強調され、全く頭に入って来てくれない訳です。

資料のこの部分に書かれていることを読んだ時に起こるこの感覚は、自分の人生において、このことと近いように思える、そういう想起を言葉にして返信する。

そして、きっと、他の方も近い形での返信なのではないか、と思いつつ、返信それぞれを読むことで、自分の中で、幾分か軌道修正が行われ、理解が深まっていく…、そんな感覚があります。

改めて書くと、私たちは直接会えなくなることで、新しい勉強会の形を発見しなければならなくなった訳ですが、気づいて振り返ってみると、元々、それはしなければいけなかったことのようにすら感じるのです。

この勉強会のやり方によって気付かされたことは、きっと、直接会う際にも必要なことなのではないだろうか、と思うのです。

この「ネットを介した勉強会」で起きていることを更に詳細に振り返ってみても良いのじゃないか、そう思いました。

 

以上

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◎「ネットを介した勉強会」の2月のテーマ「存在と場」の資料

(清水先生の資料)のダイジェストを紹介します。

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<共存在における二重時間>

 

1.共存在では、「存在者が居場所において共に生きていくこと」が必要

  <そのための条件>

1.居場所の境界が暫定的に固定されて、存在者が居場所と非分離な状態になること

  ⇒ 相互誘導合致によって与贈しながら居場所と動的平衡になることが必要

   (ドラマの基本の形成に相当する。しかし長い歴史的時間における共存在を考えると不足する)

 2.居場所はその外部世界の中で成長していくので歴史的相互誘導合致が必要

   (ドラマの展開に相当する。)

★歴史的相互誘導の例:会社の社員が、会社の活きを活用して会社の居場所である市場を継続的に創出していく活き。⇒その活きを実行していくためには“構想力”が必要

 

 

2.この二種類の相互誘導合致による変化

  ⇒ 居場所における日常的変化と歴史的変化に相当する。

   ・日常的変化:短い時間でおきる

   ・歴史的変化:長い時間をかけておきる

  ⇒ 即ち、存在者が長さの非常に違う時間の物差し(時間スケール)を2つ持って、

それを使い分けていくことが必要。

 

  例:居場所を市場と見なし、存在者を会社と見なして考える

    ・市場と会社は非分離な状態にあり、共に生きている。

(市場が無くなれば、会社も生きていけない。)

⇒ そこで会社はその存在を市場に位置づけられていて、市場のために懸命に働く。

それが会社の市場への与贈である。そのことで、その市場に会社の存在が支えられる。

居場所としての市場は、会社を与贈によって生まれる場によって包んで、会社の存在を

位置づけ、その位置に見合う収益を与贈する。

 

   〇短期:短期的には会社と市場の間に与贈循環がおきる。

       ⇒ 会社が「鍵」、市場が「鍵穴」としてお互いに誘い合いながら相互誘導合致して

         相互整合的な動的平衡が生まれる。

 

   〇長期:(未来も含め)長期的に歴史的に会社が続いていくためには、成長していく必要あり。

        ⇒ その成長を受ける市場も発展していく必要がある。市場はその外側に

外部世界(地球)に開かれているため、成長していかなければならない。

          さらに、外部世界において市場が歴史的に成長していくためには、

市場の居場所としての外部世界も歴史的に継続していく必要がある。 

   

★「市場の未来を見る」ためにはその外部世界という「舞台」において

ドラマを演じていく「役者」として、市場の存在を見ることが必要。

⇒ 会社(社員)が市場を包んでいる外部世界で、その世界を経験し、

  それを阿頼耶識に蓄積して歴史的相互誘導合致によって市場の

現状を乗り越えていく必要あり。

 

言い換えると:「(会社の経営者が)市場を包み込む外部世界から市場を見て、

その市場そのものの歴史的な発展の方向性をつかみ取り、

その歴史的発展を実現するように会社を経営していく。」

ということが、経営者と市場の歴史的相互誘導合致になります。

必ずしも経営者でなくてもよいですが、市場の歴史的発展を

会社を通じて実現していくこと、またそのことを通じて市場の

歴史的な変化を創造することです。

 

3.長さの異なる二重のスケール(短期/長期)をうまく使い分けていくことが重要

    例:会社は居場所としての市場において、愛の活きを活かしながら生きていくことができる。

       ・短期:相互誘導合致の法則が成立

       ・長期:歴史的相互誘導合致の法則が成立

      ⇒ この二重スケールをうまく使いわけることで会社は市場に共存在できる。

 

4.二重スケールの考え方の拡大

1.臓器と臓器を構成する細胞でも成立(外部世界としての身体は生長していく)

 

2.国家の境界にも内外に二重性あり

 ・外向きの境界を地球という居場所に対し考えていくところに民主主義の特徴あり。

 ・内向きの一重の境界しか実質的にない国家が、その境界を地球レベルまで

広げようとすると独裁的な全体主義の国家が生まれる。

 

5.時間スケールの二重性をコロナと経済に応用して考える

  ・人びとは動的平衡によって社会における存在が新型コロナから安全であるようにと計ると同時に

  ・社会としては経済的に発展させて行かなければならない。

  ⇒ この二つの活きは時間スケールが違うので、その違いを活用してうまく二つに分けることが

できれば、人びとは社会に安全に共存在して、経済的な活動を続けていくことができる。

   

  ★ここで、経済的利益を優先すると失敗する。

 

  結論:政府が国民の愛と科学的思考を含めた知恵を活かすことができるかどうかが問題。

 

以上                                (清水 博)

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追加コメント:

空間的に異なる居場所に存在する人びとの多様な存在をつないで、空間を越えた共存在状態を生み出すことは、地球を「舞台」とする〈いのち〉のドラマを生み出す前提になります。どうしても、人びとの多様な存在をつなぐ必要があります。そのためには、空間的に存在をつなぐ代わりに、暗在的な歴史的時間によって存在をつなぐ方法を提唱したいのです。この原理は、人びとの対面が制限されるコロナ禍の時代にも、またその時代を超えても、広く活用できると思われます。「ネットを介した勉強会」はその実践を験しています。                         (清水 博)

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以上の資料をベースに議論を行いました。場の研究所では、哲学や精神から知識を切り離さないための努力をこれからも重ねていきます。

 

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◎「ネットを介しての勉強会」開催について

2021 年の3月も場の研究所スタッフと有志の方にご協力いただき、メーリングリスト(相互に一斉送信のできる電子メールの仕組み)を使った方法で、通常の第3金曜日の19日の17時から、開催する予定です。

テーマは「存在と与贈」の予定です。

参加にご協力をいただく方には別途、進め方含めこばやし研究員からご案内させていただきます。

(参加者の方には勉強会の資料を早めに送ります。)

参加されない方にも、これまでの様に来月のメールニュースでテーマ資料など内容の説明を致します。

 

なお、今後、状況の好転があれば、イベントの開催について、臨時メールニュースやホームページで、ご案内いたしますので、今後ともサポートをよろしくお願いいたします。

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今後の、イベントの有無につきましては、念のために事前にホームページにてご確認をいただけるよう、重ねてお願い申し上げます。

 

2021年3月3日

場の研究所 前川泰久