このメールニュースはNPO法人「場の研究所」のメンバー、「場の研究所」の関係者と名刺交換された方を対象に送付させていただいています。
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■場の研究所からのお知らせ
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皆様
12月、今年も師走になりました。さすがに寒い日が増えて参りました。みなさまインフルエンザ含めて風等ひかないようにご注意ください。
さて、場の研究所の第41回「ネットを介した勉強会」は、11月17日(金曜日)に開催いたしました。「楽譜」のテーマは『場所と居場所』でした。ご参加してくださった方々、ありがとうございました。。
今回の「ネットを介した勉強会」の楽譜の内容については、参加されなかった方も、このメールニュースを是非参考にして下さい。
そして、12月の「ネットを介した勉強会」の開催は第3金曜日の12月15日を予定しております。よろしくお願いいたします。清水先生の「楽譜」のテーマは『生命の誕生と場』の予定です。この楽譜は今年の7月の勉強会と同じテーマ名ですが、清水先生から表現に曖昧な部分があり、より理解し易くした内容で皆さんと再度議論したいということで加筆修正されました。従って、これを12月の楽譜といたしました。よろしくお願いいたします。
もし、ご感想、ご意見がある方は、下記メールアドレスへお送りください。今後の進め方に反映していきたいと思います。
contact.banokenkyujo@gmail.com
メールの件名には、「ネットを介した勉強会について」と記していただけると幸いです。
(場の研究所 前川泰久)
・2023年11月の勉強会の内容の紹介:
◎第41回「ネットを介した勉強会」の楽譜 (清水 博先生作成)
(オーケストラになぞらえて資料を「楽譜」と呼んでいます。)
★テーマ:『場所と居場所』
◇「存在者中心の世界」から「存在の世界」への変換
・西洋では、昔は存在者と存在という言葉が区別して使われていたが、アリストテレス以降の時代になって以降中世では、存在という言葉が使われなくなり、世界を「存在者の世界」として理解しようとしてきたということに気づいたのは、20世紀の大哲学者ハイデッガーである。
・したがって近代科学は世界をさまざまな存在者によって理解しようとしてきたのであり、その近代科学を足場としてさまざまな工学が発展してきたのであるから、私たちは今も「存在者の世界」に住んでいると言ってもよい面がある。
・しかしその一方で、地球の温暖化現象はまさに危機的状態にあり、この状態を抜けるためには、地球を「存在の世界」に戻す必要があります。「存在の世界」の一つが里山であることを考えると、その必要性を理解できると思う。
◇存在の世界としての場所
・居場所という言葉が最近はマスコミなどでも広く使われているが、それは「存在者が居る場所」という意味で、存在者を中心にした「存在者の世界」として使われており、そこに「存在の世界」というニュアンスを感じることは少ないと思う。
・そこには存在者としての自己が安心して存在できる世界として、自己中心的にその居場所が考えられていることを感じる。
・これに対して、生き甲斐のある〈いのち〉の活き(役柄)を与えられる「世界」があると思う。例えば、家庭やボランティアの集まりや職場などにおける人々に生き甲斐のある〈いのち〉の活き(役柄)を与える「世界」がそれである。
・その場合は、家庭や集まりや職場などが、その大きさに関係なく「存在の世界」としての場所に相当する。
◇存在者と存在の違い
・「世界」の状態を「〈いのち〉のドラマ」に見立てると、「どういう名前の役者がそのドラマに登場するか」と、存在者としての役者を中心に「ドラマ」を理解していくのが「存在者の世界」であり、「どういう役柄の役者がそのドラマに登場するか」と役柄を中心に「ドラマ」を理解するのが「存在の世界」である。
・役柄の活きを理解するためには、「世界」すなわち場所の活きである「場」の理解が必要である。
◇居場所と場所の違い
・居場所は存在者によって限定される存在者中心の世界であり、存在者が亡くなるとその居場所も消える。
・それに対して、場所は人々の存在を限定する活きをするから、場所では性質の異なる存在者が共に調和的に存在する共存在が生まれる。
・私たちの身体も、また一個の細胞も、調和的な共存在の場所として生きているのである。
・またこのことは地球についても言えるのであるが、人間が地球を居場所と見なして、存在者としての自己を中心に考えてきたために、〈いのち〉の場所としての地球の状態が危うくなってきたのである。
・一般に、場所で生きている存在者の一部が亡くなっても、多くの場合、他の存在者たちによって、その活きが受け継がれて歴史的に共存在が続いて行く。
→言いかえると、場の活きによって歴史や進化が場所に生まれて発展的に継承されていくのである。
◇芸術の意義
・藝術の発展というものは、そのことと関係している。それは共存在の場所を発展的に創造するために生まれるものであり、決して、一部の存在者の居場所をよくするために、芸術家は懸命にはたらいているのではない。
・そういう意味からも、藝術作品は個人の居場所の存在者として存在させるものではなく、開かれた場所に存在させて、人々の共存在のためにはたらかせるものである
◇人間とAIの差異
・デイープAIの最近の発展は情報工学の重要な成果であり、さまざまな分野で未来の夢を語る人も増えているが、その反面として将来、人間の世界はAIに支配されるのではないかと、心配する人も少なくない。
・AIの重要な特徴は「意味が分からない」という点にあるので、人間とAIの差異を考える問題では、「AIはなぜ意味が分からないのか?」ということが重要な問題になると思う。
・AIが意味を理解できない原因はさまざまな表現の仕方があると思うが、私なりの表現をすると、「AIには脳だけあって身体がなく、居場所における存在者としての活きはもっているが、場所における存在をもっていないために、存在に関する意味が本質的に理解できない」のである。
・仏教の言葉を使うと、「AIは自己中心的な末那識はもてるが阿頼耶識をもつことはできない」という状態である。
→またこのことと関係してAIは場の活きを理解することはできない。
◇AIの限界について
・AIを活用する自動運転自動車は近い未来の夢として、さまざまな応用が考えられているが、やはり「居場所はもてるが場所には存在できない」とうことが原理的な壁になって、一定の路線を走ることはできるが、その路線の上で突然これまで経験したことがない変化に遭遇したり、またこれまで存在したことがない新しい場所を走ることになると、その場所におけるさまざまな存在の意味を十分くみ取って対応することができないという現実があり、このようなことが少なくとも現在では、その応用限界を与えているのである。
◇社会のAIによる支配からの回避
・このことと関係して、もしも将来人間の社会がAIによって支配されることを避けたければ、存在者中心の文明から存在中心の文明に文明が変わる必要があり、それを一口に言えば人間中心の居場所の上に組み立てていく社会から、地球全体を存在の場所とする共存在社会へ変わるということが必要になると思う。
・場所における存在に関係して、場の活きも根本的に見直されていく必要がある。
・もちろんこれらはAIの意義を認めた上で、その発展とバランスをとるためには、どのようなことに注目していくことが必要かを考える上で重要になることである。
◇〈いのち〉の与贈ができるのは場所である
・場所へ〈いのち〉を与贈することはできるが、またそれだから自己と非分離な場所となるのであるが、それに比較して自己の居場所に〈いのち〉を与贈することはできない。
・それは自己の居場所は自己の存在そのものの一部となっているからある。居場所への与贈は一種の自己言及になってしまうのである。
・文明が居場所中心の近代文明から、場所的文明に変わるために必要なことは、自己の〈いのち〉の共存在の場所への与贈である。
・私たちの「ネットを介しておこなう勉強会」が参加者各自の共存在の場所への与贈の形になっていることから、私たちを引きつけている大きな魅力が生まれている。
◇地球を共存在の場所として捉える
・うまく表現できないが、日銀の経営方針が居場所中心的であることが円安の原因になっているのではないかという気がする。
・共存在の場所である世界の経済に与贈する形を取り入れていくことが、一国の経済の経営にも必要になってきているのではないかと思う。
・「地球は各国に分割された独立した居場所の集まりではなく、人間ばかりでなく多様な生きものの共存在の場所である」という事実を経営に取り入れていくことがこれからの時代には次第に必要になってくる。
→ 一国の経済も例外ではないと思う。
・自己中心的な資本主義経済は多くの面ですでに限界に来ている。
以上(資料抜粋まとめ:前川泰久)
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◎2023年12月の「ネットを介した勉強会」開催について
2023年最後の12月の勉強会ですが、最初にお知らせしましたように、第3金曜日の12月15日に開催予定です。よろしくお願いいたします。
今回も、場の研究所スタッフと有志の方にご協力いただき、メーリングリスト(相互に一斉送信のできる電子メールの仕組み)を使った方法で、参加の方には事前にご連絡いたします。
この勉強会に参加することは相互誘導合致がどのように生まれて、どのように進行し、つながりがどのように生まれていくかを、自分自身で実践的に経験していくことになります。
参加される方には別途、進め方含め、こばやし研究員からご案内させていただき、勉強会の資料も送ります。(参加費は無料です。)
場の研究所としましては、コロナの状況を見ながら「ネットを介した勉強会」以外に「哲学カフェ」などのイベントの開催をして行きたいと考えています。もし決定した場合は臨時メールニュースやホームページで、ご案内いたします。
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今後の、イベントの有無につきましては、念のために事前にホームページにてご確認をいただけるよう、重ねてお願い申し上げます。
2023年12月1日
場の研究所 前川泰久