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場の研究所メールニュース 2024年08月号

このメールニュースはNPO法人「場の研究所」のメンバー、「場の研究所」の関係者と名刺交換された方を対象に送付させていただいています。

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■場の研究所からのお知らせ

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8月のメールニュースは少々遅れての配信となりました。

 

パリオリンピックも終了し、今度は高校野球の観戦されている方も多いかと思います。

残念ながら九州では地震がおき、また台風も含めて豪雨による被害が各地で出ております。

すでに被害を受けた方がいらっしゃるかと思います。心よりのお見舞いを申し上げます。

また、40度というレベルの猛暑の日もありますので、皆様水分を取って熱中症にならないようお過ごしください。

 

さて、7月の勉強会は第4金曜日の7月26日に開催いたしました。

テーマは 『〈生命〉の予約与贈循環』 でした。ご参加してくださった方々、ありがとうございました。

 

7月のテキスト(楽譜)の内容については、参加されなかった方も、このメールニュースを是非参考にして下さい。(オーケストラになぞらえて資料を「楽譜」と呼んでいます。)

 

なお、先月、ご案内しましたように8月の「ネットを介した勉強会は夏休みを取らせていただきます。従って、次回は9月の第3金曜日の9月20日を予定しております。よろしくお願いいたします。

清水先生の「楽譜」のテーマは勉強会のお知らせの際にご連絡します。

 

もし、勉強会について、ご感想・ご意見がある方は、下記メールアドレスへお送りください。今後の進め方に反映していきたいと思います。

contact.banokenkyujo@gmail.com

メールの件名には、「ネットを介した勉強会について」と記していただけると幸いです。

(場の研究所 前川泰久)

 

・2024年7月の勉強会の内容の紹介:

◎第48回「ネットを介した勉強会」の楽譜 (清水 博先生作成)

 

★楽譜テーマ:『〈生命〉の予約与贈循環』

 

◇地球における「進化のドラマ」

・死ねば宇宙における一つの天体としての地球の一部となって、即ち「〈生命〉のドラマ」の「舞台」となって、自己の「役者」としての活きを次の〈生命〉の持ち主に譲るのである。

・このように先ず生きていく活きをする「役者」を経験して、次にその経験を踏まえてその「舞台」となるという変化をすることが地球における「進化のドラマ」としての「〈生命〉のドラマ」を先へ進める形をつくっているのである。

 

◇死は予約されている与贈循環の一部

・個物的生命体としての「役者」を経験してからの死は、「〈生命〉のドラマ」を先へ進めるためにおこなわれる「〈生命〉の天体」としての地球への与贈として、地球という天体に自己が生まれたときに既に予約されている与贈循環の一部である。

・そう言う意味では、死に方の問題を別にすれば、死は場所的生命体として宇宙に存在する一つの天体としての地球における「天体現象」(自然現象)である。したがって、宇宙においては、別段、珍しい状態ではない。

 

◇「〈生命〉の与贈の予約」の重要性

・自己の臨終の時に、その〈生命〉を場所的生命体としての地球に与贈するためにはどうすれば良いのだろうか?

・自己が元気なときには、〈いのち〉の与贈は「与え贈る」というように、自己の意志と生命力(〈いのち〉の活き)によっておこなわれる。しかし、その生命力がなくなるのが臨終であるから、自己が〈いのち〉を地球に与贈することができるかどうかは極めて不確かである。

・だが、〈いのち〉と違って、〈生命〉の与贈は存在そのものの与贈であるから不可能ではないかもしれない。逆から考えれば、自己の〈生命〉を地球が受けとるからこそ、自己の臨終となると言えるかもしれない。

⇒言いかえると、〈生命〉は地球に与贈されることが予約されて、生まれるときに与えられてくるのである。

・この「〈生命〉の与贈の予約」こそが、地球における生物進化という天体としての地球の自然現象にとって核心的に重要である

 

◇全ての個物的生命体は与贈して消えていく形をとる

・人間ばかりでなく、地球の上で生きているすべての個物的生命体は、どのように見えても、やがてはその〈生命〉を宇宙(自然)に与贈して消えていくという予約を背負って生きている。そのことが地球における自然すなわち宇宙そのものの存在の形なのであり、例外はない。

 

◇究極の存在美を発見するのは人間の精神の活き

・予約与贈循環の〈生命〉の活きの中に究極の存在美を発見するのは人間の精神の活きの重要な特徴であると思う。それは絵画、音楽、物語と幅広く「〈生命〉のドラマ」の多様な面の活きに関係づけられて、さまざまな藝術の世界を生み出している。

・予約与贈循環によって、共存在に結びつけられた美の世界が生まれ、それが単一の存在の世界ではなく、場所的な共存在の世界であるが故に、そしてさらに生のみでなく、その死にも結びついている世界であるが故に、宇宙としての自然と人間の存在を日常的な想像の範囲を遙かに越えて深く美しく結びつけていくのである。それは単なる形式の表現ではなく、宇宙的な精神の表現なのである。

・人間は自然(宇宙)における互いの存在を心で受け止めて、それを美しく思うからこそ、それぞれの〈生命〉の与贈を日常的な存在の範囲を越えた美として、藝術における一つの究極を表すように位置づけていくのである。

 

◇一度だけの人生をどのように存在し終わるか

・〈生命〉の予約与贈循環の活きがなくても藝術は生まれるかも知れないが、それは存在の深みのない形だけのものになるのではないかと思う。このことは私たちの人生においてもなり立つ。

・一度しか生きていくことができない人生を、どのように存在し、そしてどの様に終わるかということは、言うまでもなく〈生命〉の予約与贈循環の活きと密接に関係している。

・生と死を対立的に捉えるのではなく、〈生命〉の予約与贈循環として、宇宙(自然)における「〈生命〉のドラマ」と関連させて捉えていく観点が生まれるのである。

◇藝術と哲学が生まれる根底的な活きと〈生命〉の予約与贈循環

・藝術と哲学の核心的な活動を宇宙(自然)における〈生命〉の活きに関係づけ、そしてその結果として、藝術と哲学が生まれる根底的な活きを、〈生命〉の予約与贈循環として捉えようということが今月の主張である。

・そのためには、人間としての自然(宇宙)における精神の活きをどこまでも深めることが必要である。人間は〈生命〉の予約与贈循環という自己に投げかけられた問題を通じて、宇宙の活きに深くかかわり合いながら存在していくのである。

 

◇日常生活に深い精神的な意味を与えるもの

・宇宙における共存在として、私たちの日常的な生活の場における共存在を捉えなおしてみることはできないだろうか?

・平凡に思える日常の生活の中にも、〈生命〉の予約与贈循環の活きが存在して、私たちの日常生活に深い精神的な意味を与えている可能性がある。

・私たちの貴重な存在を、現在の人間の社会はあまりにも表面的になぞっているだけではないだろうか。

⇒私たちが生きていること、そのことが宇宙における天体として存在しているということではないだろうか。

 

(資料抜粋まとめ:前川泰久)

              

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◎2024年9月の「ネットを介した勉強会」開催について

最初にお知らせしましたように、次回は第3金曜日の9月20日(金曜日)に開催予定です。

ご注意ください。

 

次回も、場の研究所スタッフと有志の方にご協力いただき、メーリングリスト(相互に一斉送信のできる電子メールの仕組み)を使った方法で、参加の方には事前にご連絡いたします。

この勉強会に参加することは相互誘導合致がどのように生まれて、どのように進行し、つながりがどのように生まれていくかを、自分自身で実践的に経験していくことになります。

参加される方には別途、進め方含め、こばやし研究員からご案内させていただき、勉強会の資料も送ります。(参加費は無料です。)

 

場の研究所としましては、コロナの状況を見ながら「ネットを介した勉強会」以外に「哲学カフェ」などのイベントの開催をして行きたいと考えています。もし決定した場合は臨時メールニュースやホームページで、ご案内いたします。

 

2024年8月15日

場の研究所 前川泰久