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場の研究所メールニュース 2024年12月号

このメールニュースはNPO法人「場の研究所」のメンバー、「場の研究所」の関係者と名刺交換された方を対象に送付させていただいています。

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■場の研究所からのお知らせ

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皆様

 

12月になりました。

師走と聞いて、気ぜわしくなる方も多いかと思います。今年は秋が短かかったという印象ですね。

 

さて、11月は第4金曜日の11月22日に開催いたしました。

清水先生の「楽譜」のテーマは「場と卵モデル」でした。

30名のご参加をいただき、多くの議論ができました。今回も余韻の時間に時間的に余裕がなかった方々からのメッセージも届きました。ありがとうございました。

11月のテキスト(楽譜)の内容については、参加されなかった方も、このメールニュースを是非参考にして下さい。(オーケストラになぞらえて資料を「楽譜」と呼んでいます。)

 

なお、今月の勉強会は、予定通り、第3金曜日が20日に開催いたします。

楽譜のテーマは「共創と場」の予定です。

 

もし、勉強会について、ご感想・ご意見がある方は、下記メールアドレスへお送りください。今後の進め方に反映していきたいと思います。

contact.banokenkyujo@gmail.com

メールの件名には、「ネットを介した勉強会について」と記していただけると幸いです。

 

なお、メールニュースが毎月届いていらっしゃらない方は、是非、ご連絡ください。

 

(場の研究所 前川泰久)

 

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◎2024年11月の「ネットを介した勉強会」の内容の紹介

 

 第52回「ネットを介した勉強会」の楽譜 (清水 博先生作成)

★楽譜テーマ:『場と卵モデル』

 

◇卵モデルとは?

・場の卵モデルでは、場所に相当する平たい器に複数個の卵を割って入れた状態を考える。卵が重なることがないように、その個数を選ぶ。

・卵が個的生命体、そして黄身がその実存生命〈生命〉、白身がその〈いのち〉を表していると考える。複数の卵を割って器に入れるだけでは、異なる卵の白身は混じり合わない。

→したがって黄身はもとの白身に包まれている。

・言いかえると、〈生命〉はそれぞれの居場所に存在しているのである。

そしてその居場所から出て共存在状態をつくることはない。

→したがって場所には、異なる生命の存在(黄身)を一緒に包む場はできない。

 

◇居場所を超える〈いのち〉の場所への与贈

・ここで白身に運動エネルギーを与えて、他の黄身のところまで流動して器に存在する他の黄身を包むことができるようにする。それが場所への〈いのち〉の与贈である。

・一部の黄身だけでなく、すべての黄身が白身を共有するためには、白身の流動性がある閾値を超えて広がる必要がある。また場所には、白身の流動を止める適当な境界が必要である。

・場は〈いのち〉の場所への与贈によって生まれ、そして異質の生命の存在である黄身つまり〈生命〉を一緒に包む。場所全体に広がった白身が場所に生まれた場に相当する。

・それぞれの居場所を超える〈いのち〉の場所全体への与贈によって、高山さんが言われる「愛の場所」に相当する場が生まれるのである。

・その広がった白身を媒介にして、黄身と白身を「役者」と「舞台」にして与贈循環が始まる。即興的な「〈いのち〉のドラマ」が始まるのである。

・場では、〈いのち〉の与贈循環が起きている。このことは場のとても重要な特徴であるが、これまで指摘されていない。

 

◇場の流動性と共存在の「ドラマ」について

・その状態にあるとき、器には異なる〈生命〉が流動的な〈いのち〉である場に包まれて、共存在している状態が実現する。黄身が表現する〈生命〉にはそれぞれ主体的な活きが存在し、白身の場はそのような黄身全体を包んでいる。したがって黄身と白身はそれぞれ「役者」と「舞台」として、「ドラマ」を表現しているのである。

・「ドラマ」の進行が実現するためには、各「役者」の個性のある活きと適当な距離感が必要であるし、その「舞台」となる場は、それらを伝える時間的な流動性が必要である。

・場のその流動性によって、与贈循環が生まれることが共存在の「ドラマ」が実現するために必要である。

 

◇編集という考え方(場所に物語や歴史をつくる〈生命〉の活き)

・これだけではまだ足らない。川の流れに複数の小舟が浮かんでいるだけでは、小舟の動きは生まれても、ドラマの物語は生まれないのである。

・物語が生まれるために必要なことは活きの編集である。編集とは、場所に物語や歴史をつくる〈生命〉の活きである。

・たとえば選挙は黄身の選択であるが、それだけでは意味が足らない。黄身の選択が歴史の編集の活きをもっているから、つまり歴史を編集していく活きをもっているからこそ、重要なのである。

・このことと同様に、多くのストーリーが生まれる可能性のある状態のなかからある物語を編集していくことは、多くの可能性から一つの歴史を選択していくことに相当する。

・その活きをするのは、〈生命〉の集まり、即ち「役者」であって、〈いのち〉の集まり、即ち「舞台」ではない。しかし、選挙の結果が社会の状態を変えていくように、「役者」の活きが「舞台」を変えていき、歴史の流れを限定していくのである。

 

◇〈いのち〉のドラマにおける編集

・〈いのち〉のドラマにおける即興的な編集の活きについては、テレビや新聞も十分に伝え切れていないが、最近の日本の選挙にも、アメリカの選挙にも、歴史物語の編集の成功と失敗がはっきりと見られると思う。

・選挙は、社会の形を選択するのではなく、歴史の編集の戦いである。この差をはっきりと掴んだ方が勝つことが多いのである。

・編集は場所における物語の与贈循環の活きを限定することに相当する。

・宗教は死と生の舞台としての地球における即興的な「〈いのち〉のドラマ」である与贈循環に対する編集の活きである。自己の死と生とが編集されて、愛の場に包まれることによる共存在の安心感がそこに生まれるのである。

 

◇さまざまな場所における卵モデルの活用

・大は地球から、さまざまな国家、自治体、企業、職場、グループ、さらには家庭に至るまで、大小さまざまな場所があり、そこに場をつくり、〈いのち〉の与贈循環を生み出すことが人間のこれからの重要な課題であると思う。

・そのためには、どの様に生きていくことが大切か、自分自身に問いかけていくために、場の卵モデルがお役に立てば幸いである。

・また卵モデルで平たい器を考えたのは、理解の便宜のためであり、実際は与贈循環が起きることが必要なのであるから、立体的な容器(場所)にも卵モデルを活用することができる。

・例えば、さまざまな臓器が存在している私たちの腹腔や、また細胞の活きを理解するためにも、卵モデルを活用することができるのである。

 

(資料抜粋まとめ:前川泰久)

 

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◎2024年12月の「ネットを介した勉強会」開催について

最初にお知らせしましたように、次回は第3金曜日の12月20日(金曜日)に開催予定です。

開催に際しては、場の研究所スタッフと有志の方にご協力いただき、メーリングリスト(相互に一斉送信のできる電子メールの仕組み)を使った方法で、参加の方には事前にご連絡いたします。

この勉強会に参加することは相互誘導合致がどのように生まれて、どのように進行し、つながりがどのように生まれていくかを、自分自身で実践的に経験していくことになります。

参加される方には別途、進め方含め、こばやし研究員からご案内させていただき、勉強会の資料も送ります。(参加費は無料です。)

 

場の研究所としましては、コロナの状況を見ながら「ネットを介した勉強会」以外に「哲学カフェ」などのイベントの開催をして行きたいと考えています。もし決定した場合は臨時メールニュースやホームページで、ご案内いたします。

 

2024年12月1日

場の研究所 前川泰久